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脱原発基本法案の早期成立による脱原発政策の実現を求める会長声明

9月25日―2

日弁連から、脱原発基本法案の早期成立による脱原発政策の実現を求める会長声明が出されました。
法案の内容がこれまでの日弁連が積み上げてきた政策提言に合致しており、その早期成立を求めるという内容です。
「速やかに脱原発を実現するという政策に対しては、経済界などから電力事業の経営が破綻し、電力不足と生産コストの上昇で産業空洞化が加速し、国民生活が脅かされかねないなどの批判がある。
しかし、当連合会は上記の意見書においてエネルギー需要抑制のための実効的施策をとることと併せ、再生可能エネルギーへのシフトを進めることを詳細に提言しており、加えてCO2排出量が比較的少ない天然ガス・コンバインドサイクル発電(ガスタービン発電と蒸気タービン発電を組み合わせた熱エネルギーをより効率的に利用する方式)を導入することなどにより、脱原発を前提としたエネルギー政策の転換を進めるべきである。
地震活動期の続く日本において、原発事故の再発を防止することこそが国民生活を守る上での最大の課題である。」という点が特徴かと思います。
(脱原発法制定全国ネットワーク事務局長 海渡雄一)

脱原発基本法案の早期成立による脱原発政策の実現を求める会長声明

脱原発基本法案の早期成立による脱原発政策の実現を求める会長声明本年9月7日、衆議院議員(提出者13名、賛成者23名、賛同者43名)により、「遅くとも、平成32年(2020年)から平成37年(2025年)まで」のできる限り早い時期における脱原発を実現することなどを骨子とする脱原発基本法案が衆議院に提出され、次期国会に継続審議とされた。

当連合会は、かねてから、原子力発電所の新増設の停止と、既存の原子力発電所の段階的な廃止などを求めてきたところ、2011年7月15日付け「原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書」において、これを具体化し、廃止に向けての道筋を、以下のとおり提言した。

(1) 原子力発電所の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止する。

(2) 既設の原子力発電所のうち、①福島第一及び第二原子力発電所、②敷地付近で大地震が発生することが予見されるもの、③運転開始後30年を経過したものは、直ちに廃止する。

(3) 上記以外の原子力発電所は、10年以内のできるだけ早い時期に全て廃止する。廃止するまでの間は、安全基準について国民的議論を尽くし、その安全基準に適合しない限り運転(停止中の原子力発電所の再起動を含む。)は認められない。

また、本年5月25日の定期総会では、「深刻な原子力発電所事故被害の再発を未然に防止するため、現在停止中の原子力発電所については、福島第一原子力発電所事故の原因を解明し、その事故原因を踏まえた安全基準について、国民的議論を尽くし、それによる適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、再稼働しないことを求める。」との決議を採択している。

脱原発基本法案が、脱原発を、遅くとも2020年から2025年までのできる限り早い時期に達成すると明示したこと(第3条第1項)、再稼働についても「最新の科学的知見に基づいて定められる原子炉等による災害の防止のための基準に適合していると認められた後でなければ、運転(運転の再開を含む)をしてはならない」(第3条第4項)としたことは、上記意見書(3)及び総会決議の趣旨と合致するものと評価できる。

また、2020年から2025年までに脱原発を達成するということは、上記(1)の原発の新増設は事実上あり得ず、また再処理等も廃止することが必然的に導かれるものであり、この点も評価するものである。

一方で、政府は、9月14日、原発を新増設しないこと、「40年廃炉」を厳格に適用すること、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」することなどを骨子とする新しいエネルギー政策提言(「革新的エネルギー・環境戦略」)を取りまとめた。

この新しいエネルギー政策提言は、経済界などからの強い批判の中で、国民の多数の意思を尊重して将来の原発比率をゼロとする方向性を決めたという点で、一定評価できるものといえる。

しかしながら、この政策提言そのものは閣議決定するに至らず、いまだ脱原発を実現することを明確に約束するものにはなっていないこと、新増設を認めないとしながら、経済産業大臣は建設途中で建設がストップしていた一部の原子炉について建設再開を容認する姿勢を示しており、早期の廃炉と建設再開は明らかに矛盾すること、「2030年代」は目標年として幅があり過ぎ、「40年廃炉」を厳格に適用すれば最も遅い2039年に残存している原発は5基にとどまることなどからすれば、この新しいエネルギー政策提言は、できる限り早期の脱原発の実現を願う国民の声に十分に応えたものとはいい難い。再処理を継続するとした点も自己矛盾である。

速やかに脱原発を実現するという政策に対しては、経済界などから電力事業の経営が破綻し、電力不足と生産コストの上昇で産業空洞化が加速し、国民生活が脅かされかねないなどの批判がある。しかし、当連合会は上記の意見書においてエネルギー需要抑制のための実効的施策をとることと併せ、再生可能エネルギーへのシフトを進めることを詳細に提言しており、加えてCO2排出量が比較的少ない天然ガス・コンバインドサイクル発電(ガスタービン発電と蒸気タービン発電を組み合わせた熱エネルギーをより効率的に利用する方式)を導入することなどにより、脱原発を前提としたエネルギー政策の転換を進めるべきである。地震活動期の続く日本において、原発事故の再発を防止することこそが国民生活を守る上での最大の課題である。

当連合会は、国会に対して、政府の新たなエネルギー政策をさらに前倒しし、議員立法によって国会に提案されている脱原発基本法案をもとに、脱原発を速やかに実現するための立法措置を速やかに成立させ、政府にこれを実現することを求める。

2012年(平成24年)9月21日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司



▼日本弁護士連合会ウェブサイト
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120921.html
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